2026年改正「区分所有法」―求められる新しい対応

はじめに
2026年4月施行予定の改正区分所有法は、マンション管理組合の運営や再生の在り方に大きな影響を与えます。
区分所有法は1974年の制定以来、部分的な改正を重ねてきましたが、今回の改正は「高経年マンションへの対応」「区分所有者の高齢化」「合意形成の困難化」を背景とした、実務に直結する改正となっています。
改正の背景
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築40年以上のマンションが全国で100万戸を超える見込み
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区分所有者の高齢化により総会出席率が低下、意思決定の停滞が深刻化
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耐震性不足・設備老朽化など安全面のリスク増大
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再生や建替えを進めやすくする法的枠組みが求められていた
主な改正ポイント(抜粋)
- 団地型マンションの再生制度整備
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複数棟一体のマンション(団地)について、建替え決議や敷地売却決議の要件を明確化。
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管理不全マンションへの公的関与
自治体が「管理不全マンション」と認定し、指導・勧告できる制度が新設。
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建替え・敷地売却の決議要件緩和
現行は「区分所有者および議決権の各5分の4」以上 → 特定要件を満たす場合に緩和可能。
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集会(総会)のIT化推進
電子投票やオンライン総会が正式に法制度に位置付け。
管理組合がとるべき対応
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管理規約の改正準備
→ 改正区分所有法に適合させ、オンライン総会や電子決議の条項を追加。 -
長期修繕計画との連動
→ 建替えや再生のシナリオも想定した資金計画を検討。 -
管理計画認定制度との整合性
→ 自治体の「認定」を受けることで、資産価値維持と金融機関評価向上につながる。 -
専門家(マンション管理士・弁護士・建築士)との連携
→ 複雑な決議や再生手続きは専門的サポートを受けることが必須。
